デノンのオーディオアンプ設計におけるもっとも重要なテーマである「繊細さと力強さの両立」を実現するために、一般的なトランジスタの3倍のピーク電流供給能力を持つHCトランジスタをシングルプッシュプルで用いるシンプルな回路を採用しています。多数の素子を並列駆動して大電流を得る手法において問題となる素子の性能のバラツキによる音の濁りを解決し、楽音の表情までも繊細に描き出す表現力を実現するために、デノンは1ペアという最小単位の素子による増幅にこだわり続けています。さらに音質への影響の大きい入力カップリングコンデンサを用いないシンプル&ストレートな回路構成により、鮮度の高い再生を実現しています。
増幅回路にはPMA-2500NE、PMA-1600NEと同様にプリアンプでの増幅を行わず、1段構成のハイゲインパワーアンプのみで増幅を行うハイゲインアンプ構成を採用。音声信号が通過する回路と素子の数を減らし、信号経路を限りなく短く、かつ高品位に構成することにより、純度の高いサウンドを実現しています。
ボリウムにはオーディオグレードのモーター式ボリウムを採用。デノンがこだわり続けるアナログ式ボリウムは入力バッファ回路が不要であるため、電子ボリウムに比べてシンプルな回路構成が実現でき、音声信号の鮮度の低下や色付けを避けられるというメリットがあります。
新たにPCM 192 kHz / 24 bitの入力信号に対応するデジタル入力を搭載しました。入力端子は光デジタルを3系統、同軸デジタルを1系統装備しています。デジタル入力基板はシールドケースに封入し、デジタルオーディオ回路からの輻射ノイズによる音質への悪影響を抑えています。
PhonoやCDなどのアナログ信号の入力時には、デジタル入力回路への給電を断つことによりデジタル入力回路を完全に停止させた「アナログモード」で動作させることができます。音質に影響を及ぼす高周波ノイズの発生を抑えることにより、ディテールまで情報量が豊かで澄み切ったサウンドを実現します。
※アナログモードに設定中は、同軸デジタル、光デジタル入力は使用できません。
HCシングルプッシュプル回路の能力を最大限に引き出すため、電源回路には大型のEIコアトランスとPMA-800NE専用に新たに開発されたカスタム仕様の大容量(8,200μF)のブロック電解コンデンサー、および大容量整流ダイオードを採用。クラスを超えた重厚さとタイトさを兼ね備えた低音再生を余裕の電源供給能力で支えています。
アナログオーディオ回路には、エントリーグレードながら、PMA-2500NEやPMA-1600NEなど上位モデルでも使用されているSX1の技術を汲む高音質パーツを多数投入。これまでにデノンが開発してきたカスタムパーツに加えて、サウンドマネージャーがスリーブの印刷や色にまでこだわりぬいて音質を磨き上げたスペシャルパーツを採用することにより、生命感溢れる躍動的なサウンドと見通しの良い空間表現力を獲得しました。
プリメインアンプには、Phono回路、プリアンプ回路、パワーアンプ回路など大小様々なレベルの信号を扱う回路が同居しています。これらの回路間の相互干渉を抑制するために、それぞれの回路のレイアウトを分離するコンストラクション「S.L.D.C.(Signal Level Divided Construction)」を採用しています。
入力から出力までの信号ラインを最短化するミニマム・シグナル・パス回路により信号の劣化や色付けを抑え純度の高い再生音を実現しています。PMA-800NEにおいては、ソースダイレクトやPhono(MM/MC)の切り替えを機械式スイッチではなく、リレーで切り替えることにより、信号ラインを最短化。さらに使用頻度の低くなったACアウトレット、プリアウト端子を削除。回路のシンプル&ストレート化を突き詰めることでさらなる高音質化を図りました。
新たにMM型 / MC型カートリッジの両方に対応するフォノイコライザーを搭載しました。PMA-800NEでは、PMA-2500NE、PMA-1600NEと同様の回路構成を採用。初段にデュアルFETを3パラレルで使用し、低ノイズ型のデュアルOPアンプとあわせ、繊細なフォノ入力信号を高S/N比を保って増幅します。
電源トランスやヒートシンク、シャーシの大きな重量を支えるフットには、高密度で高剛性なリブ入りフットを採用。防振効果をさらに高めるとともに、入念な音質チューニングも施しています。
トップカバーの厚みを従来よりも14%アップし、剛性を向上させました。ダイレクト・メカニカル・グラウンド・コンストラクションや高密度フットと合わせ、より振動に強いコンストラクションを実現しています。
スピーカー端子には金メッキ処理により経年劣化を防止し、長期にわたる信頼性の高い接続を実現しています。接続が容易なバナナプラグにも対応しています。
DCD-800NEなどデノン製のCDプレーヤーを操作することもできるリモコンが付属しています。また、デノンのネットワークオーディオプレーヤーDNP-2500NEやDNP-800NEと本機をIRコントロールケーブルで接続すると、「HEOSアプリ」を使ってスマートフォンやタブレットから本機の操作を行うこともできます。
HEOSアプリは こちら
【パワーアンプ部】 | |
定格出力 | 50 W + 50 W (8Ω、20 Hz ~ 20 kHz、THD 0.07 %) 100 W + 100 W (4Ω、1 kHz、THD 10 %、JEITA) |
全高調波歪率 | 0.01 % (定格出力、-3 dB時)、負荷8Ω、1 kHz |
出力端子 | スピーカー AまたはB:負荷 4 ~ 16Ω スピーカー A + B:負荷 8 ~ 16Ω |
【プリアンプ部】 | |
入力感度 / 入力インピーダンス | PHONO(MM): 2.5 mV / 47 kΩ PHONO(MC): 200μV / 100 Ω CD、NETWORK、RECORDER : 105 mV / 40 kΩ (ソースダイレクトオフ) 105 mV / 17 kΩ (ソースダイレクトオン) |
RIAA偏差 | PHONO : ± 0.5 dB(20 Hz ~ 20 kHz) |
最大入力 | PHONO(MM): 70 mV / 1 kHz PHONO(MC): 6 mV / 1 kHz |
【入出力端子】 | |
アナログ音声入力端子 | アンバランス入力×4、PHONO(MM / MC)入力×1 |
アナログ音声出力端子 | アンバランス出力(RECORDER)×1 、ヘッドホン出力×1 |
デジタル音声入力端子 | 同軸デジタル入力×1、光デジタル入力×3 |
その他 | IRコントロール入出力×1 |
【総合特性】 | |
S / N比(Aネットワーク) | PHONO(MM): 86 dB(入力端子短絡、入力信号5 mV) PHONO(MC): 71 dB(入力端子短絡、入力信号0.5 mV) CD、NETWORK、RECORDER: 105 dB(入力端子短絡) |
周波数特性 | 5 Hz ~ 100 kHz(0 ~ -3 dB) |
トーンコントロール | BASS(低域): 100 Hz ±8 dB TREBLE(高域): 10 kHz ±8 dB |
【総合】 | |
外形寸法(W × H × D) | 434 x 122 x 307 mm |
質量 | 7.5 kg |
消費電力 | 200 W |
待機電力 | 0.3 W |
付属品 | かんたんスタートガイド、取扱説明書、リモコン、単4形乾電池 × 2 |
発売日:8月中旬