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 (昭和57年)

「“純粋無帰還回路”を採用の・・・画期的プリアンプ!」

ステレオ・プリアンプ
PRA-6000
標準価格:450,000円

■1982年3月



開発ねらい

エジソンから一世紀を経過し、オーディオの世界も新しい技術の波が押し寄せてきました。電子管の発明からトランジスターの誕生へ、そして超L.S.Iへと発展を続け、エレクトロニクスはあらゆる分野へ進出し、新しい技術が新しい産業を生み出し発展し拡大されて行きます。
趣味趣向性の高いオーディオ業界にもロウ菅からステレオ時代へと大きく変遷して来ましたが、遂にデジタル時代へと歩み初めました。
日本コロムビアでは来たるべき時代に備えて、今日を予見した技術、PCM録音は全世界に先駆け1972年(10年前)に実用に入り、数々の銘録音盤を世に送り出して来ました。この様に音の入口から出口迄一貫した部門を有する当社は、各分野で驚異的な性能を誇る画期的な製品を開発し、今、夢とも言われた「純粋無帰還アンプ」を誕生させています。
この原理は、電子管時代より知られていた事ですが、静的ひずみ、周波数特性、安定性などから実用化を阻まれ、NFBアンプの性能の飛躍と共に忘れられた存在でした。
そして「無帰還アンプ」は熱狂的オーディオマンの手によって製作される自作アンプによってその音の良さが語り継がれてきましたが、DENONがハイ・テクノロジー時代に向け、リアルタイムオーディオテクノロジーをアンプ設計のテーマに無帰還化を目指し、今、MCヘッドアンプからイコライザーアンプ、フィルターアンプ、ハイレベルアンプの各段に新開発「純粋無帰還回路」を搭載し、静特性・動特性の優れた“超ハイ・スピード”プリアンプを完成しました。

純粋無帰還技術・・・特許出願・・・101件


特長

■世界初のMC HEAD AMP〜HIGH LEVEL AMPの全信号段に、純粋無帰還回路を採用した画期的なプリアンプ。

広大なダイナミックレンジのDAD(デジタルオーディオデイスク)に代表される最新のソフトに対して、そのクォリティーを最大限に引き出すべく理想の増幅方式をDENONのハイ・オーディオ・テクノロジーと、最高級オーディオ用ディバイスの投入により完成。

■純粋無帰還回路が成し得たリアルタイム、ハイスピードな応答。

動特性の画期的向上により動的ひずみゼロ、TIMひずみ0を達成。スルーレート500V/μsecのハイスピード純粋無帰還回路を全増幅段に採用。

■広帯域イコライザーアンプの高精度化に成功。

デジタルオーディオシステムによる設計と高精密級パーツ使用により、RIAA偏差をオーディオアンプの限界を超越した10Hz〜500kHz±0.2dBの高精度化を達成。イコライザーアンプは、純粋無帰還回路による電流増幅型のCR負荷インピーダンスにより構成され、動的ひずみゼロ、静的ひずみ20Hz〜20kHz 0.002%以下と低歪率特性。

■増幅回路の負荷インピーダンスを変えることで周波数特性が決定出来る純粋無帰還回路の為、高精度で音質の劣化のないトーンコントロール部

NF型、CR型トーンコントロールの本質的に問題点を解決した新方式採用。トーンコントロール特性はイコライザー特性の微妙な音質コントロールをも可能とした±0.5、±1、±2、±4、±8dBの可変カーブとディフィートを含む5段階切換可能なターンオーバースイッチとの組合せにより、複雑な音質、音場コントロールを可能としています。

■MCカートリッジとのベストインターフェイスを可能にしたMCヘッドアンプ。

電源フローティング型の純粋無帰還回路を採用。微小レベルの増幅を行うMCヘッドアンプ回路への電源リップルの影響を全く受付けない高S/Nを実現。又、歪み特性は0.002%以下と低歪率化達成。


純粋無帰還回路(リアル・バランスド・サーキット)の特長

(1)ひずみ、S/Nが優れ、表現が素直です。

新開発の純粋無帰還回路によって、Hi-gmの極低雑音FETの性能を性能限界まで引き出すことに成功。繊細かつダイナミックな音質を素直に表現します。

(2)構成がシンプル・ストレートです。

基本的な回路はカスコード接続されたFETの1段増幅回路です。FETの出力電流は入力電圧に対して2乗伝達特性となりますので、発生する歪みは原理的には2次高調波しかでません。この回路をPCH FETとNCH FET をコンプリメンタリープッシュプル化する事により歪みはFET相互の逆特性を利用して回路内でキャンセルします。本回路は高S/N化を達成する目的で特別な歪み除去回路を附加せずに回路内で歪み除去特性を得ると云う大変シンプルでストレートな方法を採用しています。

(3)応答がリアルタイム・ハイスピードです。

一段増幅の純粋無帰還回路でTIMひずみ等の過渡的な(動的)ひずみを発生することがなく、位相補償回路もなく、立上りも速く、ハイ・スピードでリアルタイムな再生が可能です。




仕様

■イコライザーアンプ部(PHONO IN〜REC OUT)

  • 入力感度/入力インピーダンス
    • PHONO-1 MC:0.125mV/100Ω
    • PHONO-1 MM:2.5mV/50kΩ
    • PHONO-2 :2.5mV/100Ω 50kΩ
    • PHONO-3 :0.125mV/100Ω
  • 最大許容入力
    • 380mV(1kHz)
  • 最大出力/定格出力
    • 23V/150mV
  • 全高調波ひずみ率
    • 0.002%以下
  • RIAA偏差
    • 10Hz〜500kHz ±0.2dB
  • SN比
    • 86dB(IHF“A”カーブ)
  • セパレーション
    • 20Hz、1kHz80dB以上
    • 20kHz 70dB以上
  • ゲイン
    • 35.6dB(1kHz)

■ハイレベルアンプ部(AUX IN〜PRE OUT)

  • 入力感度/入力インピーダンス
    • TUNER、DAD、AUX PB-1、PB-2:150mV/50kΩ
  • 定格出力
    • 1.5V
  • 全高調波ひずみ率
    • 0.002%以下
    • 20Hz〜20kHz 5V OUT
  • 周波数特性
    • 2Hz〜300kH(+0/-3dB)(10Hz〜100kHz(+0/-0.3))
  • SN比
    • 100dB
  • セパレーション
    • 100dB(Vol max 20Hz、1kHz、75dB 20kHz)
    • 100dB(Vol -20dB 20Hz、1kHz、75dB 20kHz)
  • ミューティング
    • -∞(MUTING表示点滅)
  • フィルター
    • サブソニック:
      • 16Hz 12dB/OCT
      • 20Hz 6dB/OCT
    • ターンオーバー
      • 2kHz、125Hz/8kHz、125Hz/
        2kHz、500Hz/8kHz、500Hz
    • 増減ポイント:
      • ±0.5dB、±1.0dB、±2.0dB、±4.0dB、±8.0dB、f=20Hz、20kHz

■MCヘッドアンプ部(PHONO-3 IN〜REC OUT

  • 最大許容入力
    • 19mV(1kHz)
  • 周波数特性(RIAA偏差)
    • 10Hz〜500kHz ±0.2dB
  • 全高調波ひずみ率
    • 0.002%以下 20kHz
  • SN比
    • 76dB(入力換算ノイズレベル-154dB/V)

■総合

  • ACアウトレット
    • 非連動:2ヶ(700W)(Total)
    • 連 動:3ヶ(210W)
  • 電源電圧、電源周波数
    • 100V 50Hz/60Hz
  • 消費電力
    • 90W(電気用品取締法による)
  • 寸法
    • W455×H134×D392(mm)(つまみ類、足の高さを含む)
  • 重量
    • 14.3kg

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