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Denon Official Blog > Posts > 開発者インタビュー Advanced AL32 Processing Plus とは何か
Category Name: 製品の魅力 Posted Date: 2017-02-05

最新のCDプレーヤー DCD-1600NE にも搭載されているデノン独自のアナログ波形再現技術 「Advanced AL32 Processing Plus」 とは何か。
その原理や仕組み、効果などについて DCD-1600NE の開発者であり Advanced AL32 Processing Plus の開発にも携わっている出口昌利さんにお話を聞いてみました。


 


詳しい製品情報はこちらをご覧ください。

スーパーオーディオCDプレーヤー
DCD-1600NE
120,000 円(税抜価格) NEW



 

グローバル プロダクト ディベロップメント プロダクト エンジニアリング
出口昌利


デジタル録音で失われてしまったものを補完してアナログ波形を再現するための技術

●出口さん、先日は DCD-1600NE の開発インタビューにご登場いただき、ありがとうございました。
今回は DCD-1600NE にも搭載されている、デノン独自のアナログ波形再現技術 「Advanced AL32 Processing Plus」 についてお話を聞かせてください。
まず最初に、一言で言うと、Advanced AL32 Processing Plus とはどんなものでしょうか。

出口:一言で言えば デジタル録音された音を、できるだけ元のアナログ波形に近づけるための技術です。

●ということはデジタル録音をすると、音は変わってしまうのでしょうか。

出口:そうなんですよ。まずデジタル録音の歴史を簡単にご紹介すると、世界で初めてデジタル録音を成功させたのは実はデノンなんです。
それはCDの誕生より10年も前の1972年でした。当時のデジタル化の解像度は 13bit/47.25kHz。
その後に誕生したCDのフォーマットは 16bit/44.1kHz ですが、まだそうしたデジタル録音のフォーマットさえ決まっていない時代でした。

世界初のデジタル録音はデノン

デノンは世界に先駆けてデジタル録音を行ったわけですが、それによっていろんなことがわかってきたわけです。
たとえばデジタル録音にはテープメディアでは不可避のワウフラッターによる歪みがない、あるいはデータの再現性が高いなど、数々の大きなメリットがありますが、同時にいくつかの問題点もあり、録音機に入ってきたアナログ波形をそのまま録音/再生できるわけではありませんでした。

残念ながら音は変わってしまうのです。デノンはそのようなデジタル録音にまつわる様々な問題に直面し、それを解決するための技術を開発してきました。
Advanced AL32 Processing Plus も、そうした問題を解決するために生まれてきた技術の最新型なんです。

●なるほど。では Advanced AL32 Processing Plus はデジタル録音で変わってしまった音を、録音する前の元のアナログ波形に戻すための技術と考えていいのでしょうか。

出口:はい。その通りです。「変わってしまった」と言うより「デジタル化で欠落してしまったものを取り戻す」と言ったほうがイメージとしては近いかもしれません。そのあたりは後ほどご説明しましょう。

●Advanced AL32 Processing Plus はかなり高精度な技術だと思うのですが、最近開発された技術なのでしょうか。

出口:先ほどデノンが世界で先駆けてデジタル録音を行った、という話をしましたが、この 「デジタル録音で失われてしまったものを補完してアナログ波形を再現する技術」 も、すでに20年以上の歴史を持っています。
最初にこの技術が出てきたのはCDの登場から10年を経た1993年。
CDの規格である 16bit/44.1kHz で収録されたデジタル波形を 20bit に拡張することでアナログの波形に近づける ALPHA Processing でした。これが今の Advanced AL32 Processing Plus の原型となります。

5年後の1998年には 24bit に対応した AL24 Processing が登場。
そして2004年にはサンプリング補完も行う Advanced AL24 Processing へと進化しました。
さらに2008年には32bitまで拡張した Advanced AL32 Processing が登場。
そして2015年に登場したのが、最新型の Advanced AL32 Processing Plus で、最大32 bit、サンプリングレートが384 kHzまでのハイレゾ音源に対応しています。
DCD-1600NE に搭載されているのが、この Advanced AL32 Processing Plus です。


 



デジタル録音することで何が失われるのか


●ところで 「デジタル録音で変わってしまった音を元のアナログ波形に戻す」 とは、一体どういうことでしょうか。どうすればそんなことができるのですか。

出口:その説明に入る前に、まず 「デジタル録音をするとどうして音が変わってしまうか」 についてご説明しましょう。

●ぜひお願いします。

出口:下の図を見てください。これがアナログ波形です。楽器や歌をそのまま録音した時の波形だと思ってください。
縦軸が音量(dB)で横軸は時間(Time)です。滑らかなカーブを描いているのがアナログ波形の特長です。


 



出口:この音を、たとえばCDのフォーマットである 16bit、44.1kHz でデジタル録音してみましょう。
アナログの波形は縦軸の音量では16bit、横軸の時間では 44.1kHz で量子化(デジタルデータ化)されます。
そして、デジタル化されたデータをスピーカーで再生できるように D/Aコンバーターで再度アナログ波形に戻します。
それを基の波形と重ねてみると、下の図のようになります。




  ↑アナログ波形(黄色)と量子化された後に
   DA変換されてアナログに戻された波形(水色)を重ねあわせたもの
  (※わかりやすくするために実際のデータよりも極端に直線的に描いています)

●元のアナログ波形は滑らかな波だったのに、かなりガチガチと角張った波になっていますね。

出口:そうなんです。滑らかでない、と言うことはつまり、連続性が失われたということです。
黄色と水色の差分が失われたもの、あるいは付け加えられたものですが、デジタル化(量子化)するとどうしてももとのアナログ波形の連続性が失われてしまうのです。それがデジタル化における音の変化です。

●この話って、少しデジカメの画素数の違いと画質の関係に似ているような気がします。

出口:そうですね。昔の画素数が少ないカメラで撮った写真って、今の高精度なカメラで撮影したような滑らかな描写はできませんでしたよね。
デジタル録音もそれと同じで、粗い解像度の録音だとどこかが歪んだり不自然な音色になってしまうわけです。

bit拡張と周波数拡張により元のアナログ波形に近づける

●デジタル録音をすると、アナログ波の滑らかさがどうしても失われがちになるのはわかりました。
それではどうすればアナログ波形に近い形でデジタル録音が行えるのでしょうか。

出口:それは簡単で、デジタル化のマス目を細かくすればいいんです。
それが今のハイレゾの考え方ですし、Advanced AL32 Processing も同じく、ビット拡張とサンプリング周波数を拡張することで高密度化しています。デジカメでいえば画素数を上げることに相当します。



 



●つまりデジカメで言えば、画素数が上がれば上がるほど、目で観たものに近く写せる、ということでしょうか。

出口:そうです。たとえば下の図を見てください。これは先ほどと同じアナログ波形を、より細かい bit とサンプリング周波数で録音した例です。先ほどのグラフよりマス目が細かくなりました。





出口:このグラフはわかりやすさを優先しているので正確ではありませんが、実際に Advanced AL32 Processing Plus ではどのくらいマス目が細かくなるかといえば、縦軸では 16bit が 32bit になり、横軸方向も44.1kHzの16倍の 705.6kHz になります。
ですから1マスが飛躍的に細分化されます。ここで得られたデジタルデータをアナログ波形に戻すと下図のようになります。






出口:これを元のアナログ波形と重ねてみましょう。先ほどに比べるとかなりアナログ波形に近いのがわかります。





出口:どうでしょうか、かなり元のアナログの波形に近いデータになっていると思います。
このように、Advanced AL32 Processing Plus は、CDから得られる 16bit/44.1kHz の解像度のデータに対して独自のアルゴリズムを使い、CDのデータを補正し、CDには含まれていないデータを補完することでアナログの元波形に近い波形にまで補完する技術なのです。


もともと持っていない音声データをデノンの独自技術で付加

●CDから取り出せるデータは 16bit/44.1kHz というデジタルデータしかないんですよね。
デジカメで言えば粗い写真のデータしかない状態から綺麗な写真にするわけですよね。
もともと持っていないデータはどうするのですか。

出口:そうなんです、そこが問題なんですよ。ないものはどうするのか。
ここからがデノンの独自技術となります。下の図をみてください。
説明しやすいように 16bit/44.1kHz のグラフの一部を拡大しました。






出口:上の図の赤で囲った部分を拡大します。
Advanced AL32 Processing Plus がどんな仕事をしているのか、この波形で説明をしてみましょう。
この図でもともとCDから取り出せたのは、青い丸の3点だけです。
まずは縦軸の bit拡張ですが、もともとの青い丸の3点を、よりきめ細やかに分割された座標に移動させます。
赤い点が移動されたものです。

●青い点を赤い点に移動させるのは、どうするのですか。

出口:独自技術ですので詳細にはご説明できませんが、前後のデータの離散値から今の座標にあるデータが入力されたアナログ波形の時にはどこにあったのかを類推し、データの数値を足したり引いたりして計算します。
デノンはそのアルゴリズムを持っています。

●縦軸に関してはCDから得られたデータを基にして、アナログ波形の時にはどこにあったかを類推し、正しいと思われる位置に動かして「補正」するわけですね。

出口:そうです。

●次は横軸ですが、kHz の拡張(細分化)に関してはどうするのですか。元々のデータは存在しないですよね。

出口:そうなんです。元来存在しないデータなので、データとデータの間を類推して埋めていかなければなりません。
この時も前後のデータの離散値からおそらくこのあたりだろうという値にデータを追加します。
上のグラフでいえば黄色の点が追加されたデータです。
追加するデータの算出ために、Advanced AL32 Processing Plus では常に負荷の重い演算が実行されています。

●横軸のサンプリング周波数(kHz)の拡張に関してはもともと無いものを加えるわけですから「補完」という感じですね。

出口:そうです。これはデジタルフィルターのオーバーサンプリングという作業で数値を当てはめていくのですが、このフィルターの働きが再生音に大きく影響します。



 



汎用D/Aコンバーターの内蔵デジタルフィルターは使わない

●通常D/Aコンバーターにはデジタルフィルターが内蔵されているのですか。

出口:はい。デジタル信号をアナログ変換するためにはオーバーサンプリングという機能は必須であり、デジタルフィルターが搭載されています。
一般的に言えば、D/A コンバーターはデジタルフィルターとD/A変換部で構成されており、デジタルフィルターで処理されたものが D/A コンバーターでアナログ波形に変換されます。

デノンが独自に開発した Advanced AL32 Processing Plus はデジタルフィルターの一種ですが、汎用D/Aコンバーターに内蔵されたフィルターは選択された1種類の演算しか実行しないのに対し、Advanced AL32 Processing Plus は複数の応答のパターンを計算し、そこから最適なものを選択して当てはめる、という複雑な処理を行っています。

●オーバーサンプリングにおいて複数の応答パターンから最適なものを選択する、というのはデノン独自の技術なのでしょうか。

出口:一般に、汎用のデジタルフィルターがどういう演算をするのか、それはメーカーが公開していないのでわかりません。
しかしこの演算結果はデジタルデータをアナログ波形に戻す時、非常に大きく音に関わります。
ですからそこは自分たちで責任を持ってやろうというのが、デノンがこの技術を作った理由です。

●一般的な D/A コンバーターはデジタルフィルターを内蔵しているわけですよね。
しかし Advanced AL32 Processing Plus を搭載したモデルでは、内蔵されているデジタルフィルターは使用しないのですね。

出口:使用しません。その代わりに Advanced AL32 Processing Plus を使います。
そしてそのデータをDA変換します。ですから Advanced AL32 Processing Plus を搭載する機種の場合、外部から直接D/Aコンバーターへとデータが入力できるデバイスでなくてはならないということになります。



 



     ↑Advanced AL32 Processing Plus を搭載した場合、
     汎用 D/A コンバーターのデジタルフィルターは使用しない


●そうなんですか。汎用の DAC を使っても、D/Aコンバーターの機能しか使っていないんですね。

出口:そうなんです。デジタル信号は Advanced AL32 Processing Plus で受けて演算され、D/Aコンバーター部ではアナログ変換だけを行っていますので、汎用Audio DAC 単体の性能が100%そのまま当てはまるわけではないのです。



 



●それだけAdvanced AL32 Processing Plus が大きく音質に関わっているということでしょうか。

出口:この部分は非常に大きく音に関係してきます。先ほども申しましたが、何種類もの応答波形を計算して一番良いものだけを使って後は捨てる、というのは莫大な計算能力を使いますので、音に強いこだわりを持っていなければとても非効率で使えません。

また応答波形に関しても私たちはより自然な音を目指してアップデートを繰り返しています。
CDプレーヤーや DAC などデジタルの音楽データをアナログに変換する部分は最も音に関わる重要な部分であり、ある意味で 『デノンの音』 を決めている部分でもあります。
ですからここには常に細心の注意を払っています。



 



●CDプレーヤーや DAC、ネットワークプレーヤーでは、Advanced AL32 Processing Plus がデノンの音の肝ということになりますね。

出口:そうですね。これは世界で初めてデジタル録音を実用化したデノンが、現在まで綿々と培ってきたノウハウの結晶だと思います。
何十年も引き継がれている老舗の鰻屋さんのタレのようにどんどん煮詰まりつつ、そこにまた新しいノウハウが継ぎ足されて完成度を高めているという感じではないでしょうか。



 



●なるほど、よくわかりました。今回は技術的に難しいお話しをわかりやすく説明してくださってありがとうございました。



(Denon Official Blog 編集部 I)


Picture Placeholder: Junko Arak
Junko Arak posted to 開発者インタビュー Advanced AL32 Processing Plus とは何か 2017/02/05 22:49
 

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